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ダニス・タノヴィッチ監督作品 映画「汚れたミルク あるセールスマンの告発」

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あらすじ

1997年。ある大手グローバル企業が、パキスタンで粉ミルクを強引に販売したことによって、不衛生な水で溶かした粉ミルクを飲んだ乳幼児が死亡する事件が発生した。セールスマンのアヤンは、自らが販売した商品が子どもたちの命を奪っている事に気づき、世界最大企業を訴えようとする。アヤンの前に立ちはだかる、途方もなく巨大な権力の壁。しかし、男は人生の全てを投げうって立ち向かう。子どもたちを守るため、そして愛する家族のために─。これはパキスタンで実際に起こった事件を基に描かれる、隠された真実の物語。
(公式サイトより引用)

 

製作年2014年
上映時間90分

www.bitters.co.jp

 

この大手グローバル企業というのが「ネスレ」なのですが、劇中ではドキュメンタリー映画を製作するという設定で描かれていて、最初に「ネスレ」と実名を出しておきながら、訴えられたら困るとの理由ですぐさま「ネスレ」を「ラスタ」という仮名に変えてしまいます。以降「ラスタ」を仮名のままに物語は進行していくのですが、この演出の意図がよくわからない。なんの意味があるの?

 

実際「ネスレ」が発展途上国に進出し、販路を拡大するために強引な販売戦略で、病院関係者と結託して粉ミルクを奨励していき、そのため粉ミルクの使用により、母乳が充分にでる母親までもが粉ミルクユーザーとなり、清潔な水を確保できない国々では不衛生な水の使用により多くの赤ちゃんが命を失うなどの不幸に見舞われた。その結果ネスレ・ボイコットなる大規模な抗議・不買運動まで発展していくなどの経緯があった。(映画ではネスレ・ボイコットのことまで触れていないが)
そのためか映画はあくまで企業だけを告発していく様子が描かれている。

 

映画は終始、大手グローバル企業VS告発者の元社員という構図で描かれているが、実際はそんな単純な問題じゃないだろう。
パキスタンタリバンに実効支配され、アルカイダも出てきて、現在はイスラム国も存在する。そんなテロ組織の三つ巴状態だから、未だに教育やインフラ整備の遅れ、貧困などが全く解決に至っていないのが現状。
教育やインフラ整備の遅れのある国で粉ミルク販売を無理に進めていくなど、たしかに企業側の倫理観は問題ではあるのだけど、ただこの問題を企業だけの責任に問うような単純な二元論的な図式に当てはめるのは無理があると思う。
この映画が日本以外の国で公開されないのもこういうとこなんじゃないかなぁ。
まあ、日本以外の国が「ネスレ」の顔色を窺っているのもあるんだろうけど。
(この映画は2014年度製作の作品なのですが、日本以外の国では未だ公開されず、2017年3月に日本が世界初公開とのこと。)

個人的にはいろいろと引っ掛かる部分があって映画で描かれていること全て鵜呑みには出来ないと思った。映画の終わり方も尻すぼみ感が拭えないまま、うやむやな終わり方に感じる。


ちなみにネスレはHP上にある「よくある質問」にてこの映画に対して見解を載せています。

www.nestle.co.jp